介護経営

介護施設の資金調達・融資対策の基本|金融機関が重視する数字と準備

介護施設が融資を受けるとき、金融機関はどの数字を見ているのか。試算表・資金繰り表・稼働率など、融資審査で重視される数字と、日頃の月次管理が融資対策につながる理由を解説します。

介護施設の融資:「数字を見せられるか」が分岐点

介護施設が設備投資・運転資金・改修費用などで融資を受けるとき、金融機関が最初に確認するのは「この事業者は経営状況を把握しているか」です。

試算表が2〜3か月遅れで届く環境では、融資申請時に「最新の財務状況がわからない」という状態になります。金融機関から「直近の試算表を提出してください」と言われても、翌月末以降でないと出せない——このような状況は、融資審査において印象が悪くなります。

日常の月次管理をきちんと行っている施設は、融資申請時にも素早く数字を示せます。月次管理と融資対策は別物ではありません。

金融機関が介護施設の融資審査で見る数字

稼働率

施設の収益力を示す最重要指標です。稼働率が安定して高い施設は返済能力が高いと判断されます。稼働率が低い場合は、その理由と改善見通しを説明できる必要があります。

人件費率

売上に対する人件費の割合です。介護施設は人件費比率が高い業種ですが、70%を大幅に超える状態が続いていると収益性の懸念材料になります。月次で人件費率を把握している施設は、審査担当者の質問に対して数字で答えられます。

資金繰り

介護報酬は約2か月後の入金のため、売上があっても現金が足りなくなるリスクがあります。資金繰り表を提出できると、現金の動きを透明に説明でき、融資の必要性・返済の可能性を具体的に示せます。

試算表の鮮度

直近の試算表が翌月15日以内に作成されている施設は、最新の財務状況を素早く提出できます。金融機関は「いつ時点の数字か」を重視します。

融資申請時に用意すべき資料

| 資料 | 内容 | |---|---| | 直近2〜3期の決算書 | 貸借対照表・損益計算書 | | 直近3か月の試算表 | 月次の損益状況 | | 資金繰り表(3〜6か月先の見通し) | 月次の収支・現金残高予測 | | 稼働率レポート | 過去12か月の稼働率・入退去状況 | | 事業計画書(設備投資・新規開設の場合) | 収支計画・資金計画・稼働率の仮定 |

資金繰り表と稼働率レポートは、多くの施設が持っていません。これを提出できるだけで、他の事業者との差別化になります。

日頃の月次管理が融資対策になる理由

融資の申請は突然生じることが多いです。設備が老朽化した・急に資金が必要になった——このような場面で、日頃から月次管理をしている施設は準備が速い。

一方、試算表が遅い・資金繰り表がない・稼働率を数値で把握していない施設は、融資申請の準備だけで数か月かかることがあります。

月次管理の目的は日常の経営判断ですが、その副産物として融資対策ができています。試算表の早期化・資金繰り表の月次更新・稼働率の記録——これらは融資を見越して始めるものではなく、経営の質を上げた結果として融資対策になります。

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よくある質問

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執筆者

萩原裕司

公認会計士・税理士