資金繰り

介護施設の年間資金計画の立て方|賞与・納税・改定を見込んで資金を切らさない

介護施設は賞与や納税、報酬改定など、年間で大きな資金変動があります。これらを月次の資金繰り表だけで追うと先の備えが間に合いません。年間で資金の動きを見通す資金計画の立て方を、実務目線で整理します。

年間資金計画は「賞与・納税・改定を月単位で先に見込む」ことから作る

介護施設の年間資金計画とは、1年間の入出金を月単位で見通し、賞与・納税・報酬改定といった大きな変動を先に織り込んで、各月末の資金残高を把握するものです。月次の資金繰り表が直近を見るのに対し、年間計画は1年先までの資金の山と谷を見渡します。

介護施設は、賞与や納税など特定の月に支出が集中する構造です。これらを直前まで把握していないと、その月に資金が一気に細り、対応が間に合いません。さらに介護報酬は入金が約2か月遅れ、報酬改定で収入が変わることもあります。こうした変動を年間で見通しておけば、資金が薄くなる月を事前に察知し、余裕を持って準備できます。年間資金計画は、資金繰りを後手に回さないための先回りの仕組みです。

直近の資金の動きを追う資金繰り表については介護施設の資金繰り表はなぜ必要?黒字でも資金不足になる理由で整理しています。本記事は、それを1年先まで広げた年間計画の立て方に絞ります。

なぜ年間の資金計画が必要なのか

月次の資金繰り表は、直近の数か月を見るには有効です。しかし、半年先の賞与や納税の山までは捉えきれません。介護施設のように支出が特定の月に集中する事業では、数か月先の資金の谷に気づくのが遅れると、準備が間に合わなくなります。

年間で資金の動きを見通しておけば、どの月に資金が薄くなるかが事前に分かります。資金が不足しそうな月の前に、借入や支出の調整を準備できるのです。資金が尽きてから動くと選択肢は限られますが、1年先まで見えていれば、金融機関への相談も余裕を持って進められます。年間資金計画は、資金繰りを感覚から計画に変えるための土台です。

よくある課題

大きな支出を直前まで把握していない

賞与や納税といった年数回の大きな支出を、その月が近づくまで意識していないケースです。準備が間に合いません。

月次の資金繰り表だけで管理している

直近数か月の資金繰り表しか作っておらず、半年先の資金の谷が見えていないパターンです。先回りの備えができません。

計画と実績を突き合わせていない

年間計画を立てても、毎月の実績と比べて更新していないケースです。ズレが積み重なり、先の見通しが当てにならなくなります。

実務で起きる問題

ある特別養護老人ホームを運営する法人の例です。毎月の資金繰りは資金繰り表で追っており、直近の支払いには困っていませんでした。しかし、ある年の冬、賞与の支払い月に法人税の納税と設備の修繕が重なり、手元資金が想定以上に細りました。それぞれは把握していたものの、同じ月に集中することを事前に見通せておらず、急いで資金を手当てすることになりました。

翌年からは、賞与・納税・修繕・借入返済などの大きな支出を1年分の表に並べ、各月末の資金残高を見通す年間資金計画を作りました。すると、支出が重なる月が事前に見え、その前の数か月で資金を厚くしておく、修繕の時期をずらす、といった調整ができるようになりました。毎月、実績とのズレを反映して見通しを更新したことで、先々の資金の谷に余裕を持って備えられる経営に変わったのです。経営計画と連動させる考え方は介護施設の経営計画の作り方|数字に落とし込む手順も参照してください。

改善方法

ステップ1:毎月の通常の入出金を並べる

介護報酬の入金と、人件費・家賃などの毎月の支出を月ごとに並べます。入金が約2か月遅れることも反映します。

ステップ2:年数回の大きな支出を月に割り付ける

賞与・納税・社会保険の年度更新・修繕・借入返済を、発生する月に割り付けます。支出が集中する月が見えてきます。

ステップ3:収入の変動要因を見込む

利用者の増減や報酬改定の影響を、分かる範囲で見込みます。収入が変わりそうな時期を計画に反映します。

ステップ4:各月末の資金残高を計算する

毎月の入出金から、各月末にどれくらい資金が残るかを計算します。資金が薄くなる月を事前に特定します。

ステップ5:毎月、実績と突き合わせて更新する

計画と実際の入出金のズレを毎月確認し、先の見通しを更新します。ズレを早く捉えれば、不足する前に動けます。

関連サービス

キャッシュフロー予測・資金計画の支援では、賞与・納税・修繕・借入返済といった大きな支出を1年分の表に割り付け、各月末の資金残高を見通せる年間資金計画を一緒に作ります。介護報酬の入金が遅れる構造や報酬改定の影響を織り込み、資金が薄くなる月を事前に特定します。毎月、計画と実績のズレを反映して見通しを更新し、資金が不足する前に手を打てる体制づくりを支援します。

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よくある質問

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執筆者

萩原裕司

公認会計士・税理士