試算表が翌々月にしか届かなかった単独運営のデイサービスが、資料提出フローと給与締め日の見直しで翌月15日までの月次完成に切り替えた想定モデルケースです。早期化で何が変わるかを実務目線で整理します。
※本記事は、当事務所が支援する典型的な状況をもとに構成した想定モデルケースです。特定の実在する顧客の事例ではありません。数値も説明のための想定値です。
1. 想定モデルケース概要
- 事業形態:単独運営のデイサービス(1事業所)
- 規模:年商 約8,000万円、職員10数名
- 当時の状態:試算表が翌々月にしか届かない
- 支援テーマ:月次決算の早期化(翌々月 → 翌月15日)
地域に根ざした単独のデイサービスで、経営者自身が現場にも入っている法人を想定したモデルケースです。数字は顧問税理士から届くものの、見られる頃には2か月前の状況になっていました。
2. 当時の課題
- 試算表が届くのが翌々月で、前月の人件費や稼働率を「今」確認できない
- 数字が古いため、経営判断が「感覚」に頼りがちになる
- 送迎・シフトの調整が後手に回り、稼働率の低下に気づくのが遅れる
- 加算の取りこぼしがあっても、決算近くまで分からない
経営者からは「数字は来ているが、経営に使えていない」という声が出る状態でした。これは試算表が遅れている事業所に共通します(参考:試算表が2〜3か月遅れている会社で起きやすい問題とは?)。
3. なぜ問題が起きていたか
遅れの原因は、特別な事情ではなくフローの未整備でした。
- 経費・立替の提出が「月末まとめて」運用になっていた
- 給与計算が月末締めで、人件費の仕訳が翌月後半まで入らない
- 介護報酬の未収金処理が特定の担当者に依存していた
- 税理士への資料提出が「翌月25日頃」で固定化していた
月次が遅れる構造は介護施設の月次決算はなぜ遅れるのか?で整理したパターンとほぼ同じでした。
4. 実施した改善内容
顧客の状況に合わせて、訪問はせずデータ共有を前提に進めました。
- 経費精算の締め切りを月末から25日に変更(現場への周知のみで実施)
- 給与計算の締め日を見直し、人件費仕訳を月初に入れられるように調整
- 未収金の計上・消込手順を文書化し、担当者が変わっても止まらない形に
- クラウド会計で銀行・カードを連携し、入力作業を削減
- 資料提出と試算表完成のスケジュールを「翌月10日提出・15日完成」で再設定
進め方の考え方は月次決算を翌月10日以内に完了させるための実務ポイントに沿っています。
5. 改善後の状態
- 試算表が翌月15日前後に完成するようになった
- 前月の人件費率・稼働率・利用実績を当月中に確認できる
- 加算の算定状況を毎月チェックできる
- 経営者が「古い数字」ではなく「使える数字」で判断できる
完璧な精度を求めず、まず早く出すことを優先したのが定着のポイントでした。
6. 経営上の効果
数字が早く出ること自体が目的ではなく、判断のタイミングが前倒しになることに意味があります。
- 稼働率の低下に当月中に気づき、送迎・営業の調整を早く打てる
- 人件費の増加を翌月に把握し、シフトを見直せる
- 決算前に着地が見えるため、納税や資金の準備に余裕が生まれる
早期化の効果は月次決算を早期化するメリットとは?でも整理しています。
7. このような法人に向いています
- 試算表が翌月末〜翌々月になっている単独事業所
- 数字は届くが経営判断に使えていないと感じている法人
- 稼働率や人件費を「感覚」で管理している介護事業者
月次管理の入口として、まずは介護事業の数字が見える経営支援(/kaigo)、管理体制の観点からは月次決算・経営改善支援(/management)もあわせてご覧ください。
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9. 関連FAQ
よくある質問
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執筆者
萩原裕司
公認会計士・税理士