介護経営

介護施設の加算管理でよくあるミスとは?利益が出ない施設の共通点

介護施設経営では「加算」が利益に大きく影響します。しかし、加算管理が属人的になり、取り漏れや確認漏れが発生しているケースも少なくありません。実務上よくある課題と改善方法を解説します。

加算管理は利益管理そのもの

介護施設の収益は、介護報酬の基本単価に各種加算が積み上がって決まります。処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算・各種サービス加算——これらが正しく取得・請求できているかどうかで、毎月の収益が大きく変わります。

加算管理ができていない施設は「取れるはずの加算を取れていない」状態が続き、利益の取りこぼしが発生します。さらに加算管理が属人化すると、担当者が変わったタイミングでリスクが一気に顕在化します。

なぜ加算管理が利益に直結するのか

処遇改善加算だけを例にとっても、対象職員数・賃金実績・計画書の届出状況によって取得できる額が変わります。算定要件を満たしているのに取得できていないケースや、要件が変わったのに対応が遅れているケースは実務上少なくありません。

また、処遇改善加算は人件費と表裏一体の関係にあります。加算を正確に取得できていれば、それが職員への賃金原資になります。加算の取りこぼしは、収益の問題であると同時に、採用・定着にも影響します。

よくある問題パターン

担当者への依存

加算管理が特定の担当者(サービス提供責任者・事務担当者など)に任されており、引き継ぎが整備されていないケースがあります。担当者が退職すると、加算の状況が把握できなくなるリスクがあります。

月次で確認していない

加算の取得状況を月次で確認していない施設は多いです。年度末の申告時や実地指導の前に慌てて確認し、「取れていなかった加算があった」と気づくパターンがあります。

稼働率・人員配置との連動不足

加算の算定要件には、利用者数・職員数・資格保有状況などが関係するものがあります。稼働率や人員配置の変動が加算に影響するのに、連動して確認していないケースがあります。

実務でよくある具体的なケース

あるデイサービスでは、特定処遇改善加算の「職種間配分」の要件を満たしていると思っていたところ、実際には配分方法に誤りがあり、一部の加算が算定できていなかったことが判明しました。年間換算で数十万円の取りこぼしになっていました。

このケースでは、月次で加算取得状況を確認するフローを設け、取得要件を一覧化した管理資料を作成しました。年度末の届出スケジュールも一覧で管理するようにしたことで、漏れのリスクを大幅に下げることができました。

別のケースでは、人員配置が変わったタイミングで加算要件を満たさなくなっていたにもかかわらず、請求を続けてしまっていたという事例もあります。過誤請求は後になって返還が発生するため、月次での確認が必要です。

改善のためのステップ

ステップ1:加算の取得状況を一覧化する

まず、取得している加算・取得要件・届出期限を一覧化します。これがない施設は、加算管理の起点がありません。

ステップ2:月次での確認フローを設ける

毎月何日に誰が加算取得状況を確認するかを決めます。確認項目は、要件の充足状況・請求額・前月比の変動の3点が基本です。

ステップ3:稼働率・人員配置と連動させる

加算要件に関係する数値(稼働率・職員の配置状況・資格保有者数など)も月次で一緒に確認することで、要件の変動にすぐ気づけるようになります。

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よくある質問

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執筆者

萩原裕司

公認会計士・税理士