入退去の波を感覚で捉えていた住宅型有料老人ホームが、稼働率と空室の動きを月次で見える化し、空室期間の短縮につなげた想定モデルケースです。稼働率1%が利益に与える影響を数字で追う管理体制を解説します。
※本記事は、当事務所が支援する典型的な状況をもとに構成した想定モデルケースです。特定の実在する顧客の事例ではありません。数値も説明のための想定値です。
1. 想定モデルケース概要
- 事業形態:住宅型有料老人ホーム(併設で訪問介護・通所)
- 規模:居室数 40室前後、年商 約2.5億円
- 当時の状態:稼働率を月末の感覚でしか把握しておらず、空室期間が長い
- 支援テーマ:稼働率と空室の月次見える化
入居率はおおよそ把握しているものの、「いつ退去が出て、次がいつ決まったか」を数字で追えていない法人を想定したモデルケースです。
2. 当時の課題
- 稼働率を月末の印象でしか把握しておらず、月中の変動が見えない
- 退去から次の入居までの空室期間が長く、その損失が数字で見えない
- 稼働率の低下に気づくのが、試算表が届く2か月後
- 営業・受け入れ準備が後手になり、空室が連鎖する
「埋まっているはず」という感覚と、実際の収入のずれが続いていました。
3. なぜ問題が起きていたか
- 稼働率を「率」だけで見て、空室期間という時間軸で見ていなかった
- 入退去の記録が現場任せで、経営数字とつながっていなかった
- 月次が遅れており、稼働率低下が分かる頃には次月も埋まっていない
- 稼働率と利益の関係が数字で共有されていなかった
稼働率と利益の構造は介護施設の稼働率と利益率の関係で整理したとおり、わずかな差が採算を動かします。
4. 実施した改善内容
- 月末入居率に加え、月中の入退去と空室期間を記録する形に変更
- 平均稼働率・空室日数を月次レポートに組み込み、毎月確認
- 退去予兆(健康状態・家族の意向など)を早期に共有する流れを整備
- 月次の早期化とあわせ、稼働率の低下を当月中に把握できるように
空床を時間で捉える考え方は介護施設の空床管理で利益が変わる理由、入退去の整備は介護施設の入退去フロー整備に沿いました。
5. 改善後の状態
- 稼働率と空室期間を毎月、数字で確認できるようになった
- 退去が出た時点で次の受け入れ準備に動けるようになり、空室期間が短縮
- 「埋まっているつもり」と実態のずれがなくなった
稼働率を率と時間の両面で見ることで、改善の対象が「空室期間」という具体的な数字になりました。
6. 経営上の効果
- 空室期間の短縮が、そのまま家賃・介護収入の積み上げにつながる
- 稼働率の月次把握で、営業や人員配置を先回りで調整できる
- 経営会議で「稼働率が落ちた理由」を数字で議論できる
稼働率はどこまで重要かという論点は介護施設の稼働率はどこまで重要?も参考になります。
7. このような法人に向いています
- 入居率を感覚で把握している住宅型・有料老人ホーム
- 空室期間が長いと感じているが、損失を数字にできていない法人
- 稼働率の低下に気づくのが遅れがちな法人
稼働率を軸にした経営支援は介護事業の数字が見える経営支援(/kaigo)、月次の管理体制づくりは月次決算・経営改善支援(/management)をご覧ください。
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9. 関連FAQ
よくある質問
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執筆者
萩原裕司
公認会計士・税理士